遺品整理の現場から 〜不動産屋編〜

人は遺品というモノを残し、想い出として繋げていける。そして、その想い出を味わう時間を生きている僕たちに残してくれている。時に想い出が辛く、悲しく感じることもあるかもしれない。でも、遺品が亡き人を身近に感じさせてくれる。だからこそ、あなたの納得いく整理をして欲しいと、僕はいつも願っている。

僕は、依頼者から色々な話を聞き、相談を受けることがある。それは、遺品整理以外のことで不動産、骨董、古本、リサイクル等々と言い切れないほど。そして質問を受けることも多い。

「どうすれば最善ですか?」「皆はどうされていますか?」僕の経験値で良いので教えてくださいと相談される。何故、僕に相談するのかというと参考にしたいのだ。専門の方に聞くと答えを選べなくなるという不安を抱えるからだ。

これから僕が想い出に残る遺品整理の話をしよう。そして、この物語は必ず専門業者と共に遺品整理を解決し円満になった話だ。あなたにとって最善を尽くしてくれる業者選びの基準になると思う。

「家(物件)から出ていってください」と言わない不動産屋・Hさん

これから、夏に向かう前の梅雨の時期の依頼だった。不動産屋のHさんから僕の携帯に連絡が入った。一件、売買が成立した。〇月〇日退去予定なので、それ以降でお部屋の中の残置物の整理をお願いしたいという内容だった。詳細は、二人暮らし息子と母。暮らしていた家で、お母さんが亡くなり、無職の息子は一軒家が維持できなく、競売に、家を出なければいけなくなっていた。その息子さんは、もう家には居ないはずだった。

作業日も決まり、僕はHさんから鍵を預かり、現場に到着。僕が鍵を開けると……、慌てた様子の居るはずがない息子が出てきたのである。僕がビックリして「どうしました?」と聞くと、お母さんの遺品整理も自分の引っ越しも出来ていないという。

一般的な不動産売買の場合は引渡し(決済日)までに引越しをしなければならない。通常、引渡しの2日前ぐらいまでには引越しするパターンが多い。この息子さんはグリーフ(大切な人を失ったときに起こる身体上・精神上の変化)状態になり引越しが出来ていなかったのだ。

僕は、あまりのことに思わず笑みが溢れてしまった。まずは状況説明も含めHさんに連絡、すぐに現場に駆けつけてくれた。

普通この状況下で、不動産屋さんは息子さんに対して、「困りますよ、息子さん。売買も成立しているし出ていって貰わないと強制的に動きますよ!」と威圧的にことが進んで行くのが通例。しかし、Hさんは、息子さんに優しく「どうしましたか?」から始まり、息子さんの話を最後まで聞いていた。そして、息子さんが持つ、わだかまりをHさんが率先して解決して行くという前代未聞の展開となった。

息子さんは、生活保護を受けるための手配はしていない。引っ越しの荷造りもしていない。運搬の手配もしていない。要するに何もしていないのである。一つだけ息子さんがしていたのは、引っ越し先の物件の契約だけ。もちろんこれも事前に、Hさんが手配していたのだろう。

Hさんは生活保護の申請書類をまとめ。遺品整理や箱詰め作業も腕まくりで応戦。息子さんの愚痴も言わず、威圧的な対応もなく。僕に息子さんの代わりに頭を下げて、全てをまとめあげた。僕の正直な感想は、大変なことや予定通り行かない作業でも、このHさんの依頼ならば、気持ちよく仕事できると確信した。

残念や後悔や恨みの無い形での整理が進んだ。何故なら、僕が息子さんの新居に運搬をして、最後帰るときに、息子さんは涙を滲ませて、Hさんに対してのお礼を言いながら難度も頭を下げていたから。多くの業者は、こう言う。「御客様には、ありがとう」という気持ちを忘れるなと。しかし、その陰では、利益を優先させ、人の心を置き去りにして、数字を追いかている。誰とご縁があるのか? 最後の分かれ道と思う。

遺品整理アドバイザーの不動産屋Hさんはこちら
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