何も無ければ無い方がいい。あるならたくさんあれば良い。始めて聞いた時にはピンとこなかった。認知症の祖父母は、何の準備もしてなく、娘である母が1人で取り組み始めた。私の祖父母が認知症なり、介護の母が2人の経済を見た時。家族関係が壊れていった。そして「あ!この事か!」と思い知った。

先に祖父母と母の関係について話しておきたい。祖母は後妻で、母と叔父は前妻の子供。産みの親は派手な人で、祖父と弟の世話はわずか小学生だった母がこなしていた。そのうち産みの母は蒸発、後妻に祖母が来た。祖父は祖母の一目惚れ、仲睦まじく2人の生活がスタートした。祖父母に子どもたちは付かず離れずの距離、口出ししないことでうまくいっていた。

祖母の酢の物の味が変わった事に気付いた時期を皮切りに祖母の行動や発言がどんどんおかしくなった。愛する祖母の変貌に祖父はパニックに。何も迷惑は掛けないと言っていた祖父だったが借金は無い程度。母はすぐに介護サービスの手続きをとり、仕事の更新を止め、自宅から片道一時間の距離にある介護の学校に通う事を決意した。父はどうして何もしてないの? というモヤモヤを抱えたまま介護が始まった。

介護を始めて優しい祖母のためにと頑張っていた母の意識がどんどん変わっていく。決定的なのは2人の財政状況を知った時だった。母の中で優しい祖母からしたたかな祖母に。頑固な祖父から情けない祖父にと見る目が変わっていった。

母自身が昔からもっていたモヤモヤした孤独感が溢れだした。子供の頃から祖父の可愛がっていた長男。次は長男の女房、いつも私は最後。祖父母の介護をしていると2人の力関係が浮き彫りになり、子どもとしての母と女としての祖母が祖父を挟む形となり、関係が日々悪化していった。

祖父の口座から専業主婦だった祖母がせっせと移していたお金は祖父の預金はそんなに変わらないという。母と祖母は養子縁組の届けておらず、祖母の預金に手をつけられない状況にある。

子供だというだけで祖父母の面倒がのしかかる母はすでに介護に疲れ果てていたのだろう。いまは一年前と違い、諦めに似た静かな気持ちで介護をしている。もしも二人が生前整理をしていたら、もっと気持よくエンディングを送らせたのではないか。いつまでも仲睦まじい2人だったね。で終わったはずだ。母の人生も祖父母の人生も今より美しかったのではないかと……。

家族だからこそ触れたくない部分があり、知らなくて良いことがある。自分が生前整理を怠ったことで家族に要らぬ感情や揉め事を残すことを知って欲しい。

家族の幸せのために、出来ることを! いつかではなく、今がその時だ。
遺品整理アドバイザーを取得して、さらにその気持ちが強まった。